2025.08.22
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スキップフロアの「やめたほうがいい」は本当?メリット・デメリットと対策を解説

近年、注文住宅の間取りとしてスキップフロアを取り入れる方が増えています。ただ、その一方で「やめたほうがいい」「後悔した」など、マイナスの声も耳にします。「興味はあるけれど、本当に自分たちの暮らしに合うのか不安」と悩む方も多いのではないでしょうか。

この記事では、スキップフロアで後悔する理由、メリット・デメリット、実際の施工事例、後悔しないためのポイントなどを分かりやすく解説します。スキップフロアがご家族の暮らしに合うのかどうか、判断するためのヒントをお届けします。家づくりをご検討の方は、ぜひ参考にしてください。

スキップフロアで後悔する理由|デメリットと対策

スキップフロアで後悔する理由|デメリットと対策

スキップフロアには魅力的な点が多くありますが、十分な知識と準備がないまま採用すると、思わぬ後悔や不便を感じることもあります。ここでは、よくある後悔の理由と対策について解説します。

建築費用が高くなる可能性がある

スキップフロアを取り入れると、同じ床面積でも構造が複雑になりやすく、建築費用が通常の二階建てより1~2割ほど高くなる傾向があります。これは、段差を生み出すための階段や手すり、床の補強、構造計算などが必要となるためです。
特に、大きな吹き抜けと組み合わせる場合は、鉄骨や強度の高い木材が必要になり、材料費・施工費がさらにアップします。

ただし、必要以上に大きな段差や複雑な構造を避け、小上がりや階段踊り場を広めに設けた程度の限定的なスキップフロアにとどめるのであれば、コストは抑えられます。計画時には予算や用途を明確にし、施工会社とよく打ち合わせることが重要です。

冷暖房効率が悪くなることがある

スキップフロアは縦方向に空間が広がる分、冷暖房の効率に影響が出る可能性があります。夏は冷気が下にたまり、逆に冬は暖気が上に逃げてしまうため、室温にムラが生じやすく、不快な温度差を感じることもあるでしょう。これは吹き抜けを伴う場合に顕著で、空調機器の台数や設置場所にも工夫が必要です。

対策としては、住宅全体の気密・断熱性能の向上に加え、空気循環を促すシーリングファンや全館空調システムなどの採用をおすすめします。高い住宅性能とセットでの設計が、快適なスキップフロアを実現するポイントです。

音やにおいが伝わりやすい

スキップフロアは空間がつながる開放感が魅力ですが、その分、遮音性や独立性が低く、生活音や会話の声が広がりやすいという面があります。集中力が必要な作業や、プライバシーを重視したい用途には適していません。

そのため、書斎や勉強部屋など静寂が求められるスペースとしての利用は避け、家族の気配を感じながら使えるライブラリーやキッズスペース、趣味コーナーなど、空間の性質に合った用途を選ぶのがおすすめです。においについては、キッチンの換気扇を高性能なものにしたり、換気経路を工夫したりすることで拡散を抑えられます。家具や間仕切りを活用して、音の反響を抑える工夫も有効です。

安全性に不安がある

スキップフロアは段差や階段が多くなるため、小さなお子様や高齢者のいるご家庭では、転倒やつまずきのリスクが高まります。さらに、ペットを飼っている場合も注意が必要です。

対策としては、安全性を高めるために滑りにくい床材や、落下を防ぐ手すりやネットなどを設ける工夫が効果的です。段差の高さや階段の勾配も、ライフステージの変化を見越した設計が重要です。老後の生活や介護を考えた場合にどう活用できるか、事前にイメージしておくと良いでしょう。

使い勝手の悪さを感じる

スキップフロアの用途を明確にしないまま設置した場合、実際の生活では「物の上げ下ろしが大変」「掃除がしづらい」「スペースを持て余してしまう」といった不満が生まれることがあります。加えて、スキップフロアは一般的な間取りに比べて設計難易度が高いため、設計士の力量が、快適性を大きく左右します。動線や収納計画、空間の有効活用など、細かな配慮が不足すると、生活に不便を感じる原因になりかねません。

後悔を防ぐには、スキップフロア設計の実績が豊富な住宅会社に依頼し、十分な打ち合わせを重ねましょう。住み始めてからのメンテナンスや掃除方法も、事前にシミュレーションしておくと安心です。

スキップフロアのメリット

スキップフロアのメリット

デメリットを感じる部分もある一方で、スキップフロアならではの魅力もたくさんあります。ここでは、主なメリットについて紹介します。

メリット①変化に富んだ間取りにできる

メリット①変化に富んだ間取りにできる

スキップフロアの最大の魅力は、一般的な平面プランでは得られない立体感と奥行きです。
床に高低差を設けることで、同じ延床面積でも空間が広く感じられるようになり、視線の抜けや明るさの違いも楽しめます。空間にリズムが生まれるため、家全体がより個性的でおしゃれな雰囲気に。来客にも印象に残る住まいとなり、家族みんなが自慢できる空間になるでしょう。

メリット②縦方向を有効活用できる

敷地面積が限られている場合でも、スキップフロアなら高さを最大限に活かした家づくりができます。
例えば、リビングの上部にスキップフロアを設けて書斎や趣味スペースとして使う、下部を収納やペット専用スペースとして活用するなど、発想次第でさまざまな使い方が可能です。天井が高くなることで開放感が増し、自然光や風も家全体に行き渡りやすくなります。

土地の制約を受けにくく、狭小地でも広く感じる住まいを実現できるため、都市部や変形地での家づくりにもおすすめの間取りです。平坦で単調になりがちな平屋にも、程よいアクセントを与えられます。

メリット③空間をゆるやかに区切れる

メリット③空間をゆるやかに区切れる

壁や扉で明確に仕切るのではなく、床の高さの違いによって空間を緩やかに分けられるのがスキップフロアの特徴です。家族が集うリビングとキッズスペース、ご夫婦のワークエリアなど、適度な距離感を持たせつつ視線や気配もつながるため、コミュニケーションを大切にしたいご家庭に最適です。
ワンルーム的な広がりの中で、それぞれが落ち着ける居場所を確保できるなど、多様なライフスタイルに柔軟に対応できる点も魅力の一つです。

メリット④収納スペースを確保できる

スキップフロアは段差が多く生じるため、その高低差を活かして効率的に収納スペースを確保できるのが大きな魅力です。
例えば、お子様の遊び場をスキップフロア部分に設け、その下部を日用品やアウトドア用品の収納スペースとして活用できます。限られた敷地や間取りでも空間を立体的に使えるため、収納をしっかり確保したい方に適しています。

また、天井高1.4m以下の収納スペースであれば床面積に算入されないことも多く、固定資産税対策としても有効な場合があります。ライフスタイルや家族構成に合わせて柔軟なプランニングができる点も、スキップフロアの大きなメリットといえるでしょう。

メリット⑤傾斜地の場合、土地を活かした家づくりができる

スキップフロアは土地に高低差がある場合や変形地でも、その地形を活かした設計が可能です。無理に土地を平坦に造成する必要がなく、自然な段差を利用することで、コストダウンや空間の有効活用につながります。

また、段差を活かして眺望の良い場所にリビングやテラスを配置できるなど、景観や外部からの視線をコントロールしやすい点も魅力。土地の個性を最大限引き出した家づくりができます。さらに、周囲の環境や隣家との位置関係を考慮して間取りを調整できれば、プライバシー性も向上します。
傾斜地活用のスキップフロアは、個性的な外観デザインや自然と調和した住まいを求める方に適した住まいのかたちといえるでしょう。