神奈川で耐震等級3は必要?家づくりにおける地震対策の重要性を解説

スタッフブログ2024年06月21日





世界の陸地面積の0.25%しかない国土面積の日本ですが、世界で起こるマグニチュード6級の地震の約20%は日本付近で起こっています。

地震大国とも言える日本では、地震への備えが必須。特に、大地震が起きやすいと予測される地域ではなおのことです。

日本では大地震を経験するごとに法改正を進め、建物の耐震性の基準を高めてきました。その基準のひとつ「耐震等級」。現在、耐震等級は3が最高レベルとなっています。

今後の家づくりでは、どの程度の耐震性を目指せばよいのでしょうか。今回は、「南海トラフ地震」や「首都直下地震」の危険性が高い神奈川県にスポットを当て、家づくりにおける地震対策の重要性を解説します。

そもそも耐震等級とは?









耐震等級とは


住宅会社のパンフレットやホームページなどでもよく目にする「耐震等級」という言葉。何となく「地震に対する強さ」を示していることは分かっても、具体的な内容は分からない、という方が多いのではないでしょうか。

耐震等級は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいた「住宅性能表示制度」で評価される項目のひとつです。住宅性能表示制度は、目視できない住宅性能を数項目に分け評価し、購入者などに分かりやすく伝えるための「住宅の通知表」ともいえる存在です。

耐震等級は等級1~3の三段階に分けられ、数字が大きくなるほどに耐震性が高いことを示します。等級レベルは、建物の構造やバランス、重さなどの要素に基づき評価されます。

耐震等級と耐震基準の違い




耐震等級とよく間違われるものとして「耐震基準」が挙げられます。この二つは似た言葉ですが内容は全く異なります。

耐震等級の認定はあくまで任意ですが、耐震基準は建築基準法で定められた必ず遵守すべき基準です。耐震基準をクリアしなければ住宅を建てることができません。

なお、現行の耐震基準のもと建てられた住宅はすべて耐震等級1に相当する耐震性を持ちます。ただし耐震等級1と示すためには、申請・認定の手続きを経て「住宅性能評価書」の交付を受けなければなりません。

耐震等級の確認方法




耐震等級は、指定の第三者機関に審査を依頼し、認定を受け「住宅性能評価書」を取得することで確認できます。

住宅性能評価では、着工前にまず設計図書の評価を行い「設計住宅性能評価書」が交付されます。その後、工事中に複数回の検査を実施され、最終的に「建設住宅性能評価書」が交付されて住宅の引き渡しとなります。

評価書の中で耐震等級が示されているのは、「構造の安定に関すること」の項目です。具体的な判定結果として、倒壊・崩壊のしにくさや損傷の生じにくさ、免震構造の有無、基礎の構造形式などが記載されます。

住宅性能評価書の取得には10~15万円程の費用がかかりますが、マイホームの性能が明確にわかる安心感が得られ、住宅ローン金利の引き下げや地震保険の割引を受けられるといったメリットもあります。

耐震等級3とは?どのくらい地震に強い家になる?





耐震等級1~3の違い


等級1~3の三段階に分かれている耐震等級ですが、実際にどのくらい耐震性に違いがあるのでしょうか。

それぞれの違いを具体的に確認してみましょう。

【耐震等級1・2・3の違い】



 


耐震等級3は熊本地震でも倒壊ゼロ


最も等級の高い耐震等級3は、「数百年に一度程度発生する規模の地震による力(震度6強~7相当)の1.5倍の力に対して、倒壊・崩壊しない」、「数十年に一度程度発生する規模の地震による力(震度5強相当)の1.5倍の力に対して、損傷を生じない」レベルの耐震性です。

一度大きな地震が発生してもダメージが少なく済むため、余震に耐えながら「在宅避難」ができる可能性もあるでしょう。

2016年に震度7の地震が立て続けに2回発生した熊本地震では、1度目は耐えたものの2度目の地震により倒壊した住宅が多数でした。その中で耐震等級3の住宅は、大きな損傷がなく大部分が無被害であったことが、専門家の調査によって明らかにされています。

耐震等級3の住宅が、設計データからだけでなく、実際の大地震にも耐えうる強度を持つことが明確に示された結果となりました。


神奈川県の家づくりで耐震等級3を取得するべき理由




神川県は全国的に見て大地震がやや多い地域


気象庁による1918年以降の統計を確認すると、神奈川県を襲った震度5以上の地震は15回でした。震度5以上の発生件数は全国18位という結果で、神奈川県は大地震がやや多い地域であることが分かります。

神奈川県では、大地震による被害を軽減するため「神奈川県地震防災戦略」を策定し、防災・減災対策への行動計画を示しています。自治体によるさまざまな対策も講じられていますが、度重なる大地震に耐え住まい続けることが可能な家づくりをするためには、耐震等級3の耐震性を確保することが必要でしょう。


今後は大地震の発生確率が70~80%



国土交通省や神奈川県では、今後発生する大地震を想定し、その被害想定調査結果を合わせて公表しています。特に大きな震度が予測されている3つの地震について詳しく見ていきましょう。

【首都直下地震】
概要:都心南部の直下を震源とする地震
発生確率:今後30年以内に70%
マグニチュード:7.3
予想被害棟数※:323,350棟

【南海トラフ巨大地震】
概要:南海トラフを震源域とする地震
発生確率:今後30年以内に70~80%
マグニチュード:9.0
予想被害棟数※:27,470棟

【大正型関東地震】
概要:相模トラフを震源域とする地震
発生確率:今後30年以内に70%
マグニチュード:8.2
予想被害棟数※:973,580棟

※被害には「全壊」「半壊」「焼失」を含む

それぞれの調査では、今後30年以内にマグニチュード7を超える大地震が70~80%の割合で発生すると想定されています。
マグニチュードと震度の関係は震源地からの距離によっても大きく変わりますが、熊本地震ではマグニチュード7.3で最大震度7、能登半島地震ではマグニチュード7.6で最大震度7が観測されています。

神奈川県でもこれらに匹敵する大地震が発生する可能性が高いため、災害への備えは必至と言えるでしょう。




厚木・海老名・町田で耐震等級3の注文住宅を建てるなら桜建築事務所「サラホーム」へ




今回は、住宅性能の中でも特に重要な耐震等級3について紹介しました。

地震に強い家をつくるためには、揺れに耐える「耐震」のほか、揺れを吸収する「制震」や、揺れから切り離す「免震」といった構造もあります。木造住宅においてもさまざまな工法があり、耐震壁を補強する「制震テープ」や、接合部を金属接合する「ピン工法」など新しい技術が展開されています。

住宅会社や設計事務所によっても得意とする工法は異なるため、相談や見積もりを通してそれぞれのメリット・デメリットを理解しながら検討を進めましょう。

なお、耐震等級3を取得するためには、耐震性を高めるための設計・施工だけでなく、住宅性能評価の認定を受けるための申請手続きも必要です。

一般的な非認定住宅に比べ手間や費用がかかりますが、公的機関から住まいの安全性における「お墨付き」を得られ、万一災害が発生した際にも心強いマイホームとなります。

特に、今後大地震の発生確率が高い神奈川県では、家づくりを行う上では必ず検討したい性能と言えるでしょう。

厚木・海老名・町田を中心とした地域で注文住宅を手掛ける桜建築事務所「サラホーム」では、最高ランクの耐震等級3を備えた住まいを提供します。

デザインと性能のベストバランスを考えた設計で、「家族が思いっきり楽しめる」家づくりを実現します。

「耐震等級3の家を建てたい」とお考えの方は、サラホームまでお気軽にご相談ください。

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監修者:髙橋 康征(たかはし やすゆき)

一級建築士/一級土木施工管理技士/CASBEE建築・戸建評価員/インテリアコーディネーター



日本大学生産工学研究科建築工学専攻修士課程を修了し、一級建築士として数多くのプロジェクトを手掛ける。家業の土木建設会社にて宅地造成・エクステリア施工業務を経て、桜建築事務所に入社。住宅分野に限らない幅広い知識による提案や固定概念に囚われない設計が好評を得ている。「ジャーブネット全国住宅デザインコンテスト グランプリ受賞」「2013年2022年2023年LIXIL全国メンバーズコンテスト 地域最優秀賞受賞」など、住宅デザインコンテスト受賞実績多数。

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