二世帯住宅のメリット・デメリットを徹底解説!トラブル回避のコツと3つの住宅種類も紹介

スタッフブログ2025年01月08日

二世帯住宅の文字が入ったブロック、おもちゃの家、電卓

二世帯住宅は、親世代と子世代が一緒に住むための住まいのかたちです。
住宅価格が高騰し、共働き世帯が増えている現代において、二世帯住宅はコスト面や生活面で魅力的な選択肢となっています。しかしその一方で、「やめた方がいい」と言われることも少なくありません。

この記事では、二世帯住宅のメリット・デメリットを徹底的に解説し、トラブルを防ぐためのコツや、二世帯住宅の種類についても詳しく説明します。後悔しない二世帯住宅計画のために、ぜひ参考にしてください。

 

【デメリット】二世帯住宅はやめた方がいいと言われる6つの理由


○×マークの積み木と手

昔のように多世代が一緒に暮らす機会が少なく、核家族が基本となった現代。そんな中で二世帯住宅での暮らしを始めると、生活リズムの違いやプライバシーの問題、金銭トラブルなど、さまざまな課題に直面する可能性があります。
二世帯住宅を検討する際は、事前にデメリットを理解し、トラブルを未然に防ぐ対策や心構えをしておくことが大切です。

ここでは、二世帯住宅が「やめた方がいい」と言われる原因となる、以下のデメリットを紹介します。

・生活リズムの違いによるストレスが生じる
・プライバシーの確保が難しい
・家事分担や育児への干渉で後悔を感じる
・建築費や生活費の折り合いが難しい
・相続時にトラブルの元となる
・売却しにくい

 

生活リズムの違いによるストレスが生じる


親世代と子世代では、生活リズムが大きく異なる場合があります。例えば、親世代は早寝早起きの生活を好む一方で、子世代は仕事や趣味で夜遅くまで起きていることが多いというようなことがあります。
以下のようなシーンが、生活リズムの違いによるストレスにつながる恐れがあります。

・親が朝早くから見るテレビの音がうるさい
・夜に洗濯機を回す音が気になる
・休日に子どもの騒ぐ声や大きな足音が聞こえる
・子どものお昼寝中に来客の声や掃除機の音がする

生活音や生活時間の違いは想像以上のストレスとなり、些細なことが大きな摩擦に発展する可能性もあります。防音対策を施す、生活音に関するルールを設けるなど、具体的な対策が必要です。

 

プライバシーの確保が難しい


二世帯住宅では、プライバシーの確保が大きな問題となります。特に共有部分が多い住宅では、お互いに気を遣う機会が増えるでしょう。
以下のような場面が増えると、精神的な負担を感じてしまう可能性があります。

・リビングでゆったりくつろげない
・ルームウェアなど気楽な服装で過ごせない
・私物の置き場所に困る
・友達を自由に呼べない

行き来の気配、会話の内容、生活の様子など、常に意識してしまう状況は精神的な負担になります。「監視されているようだ」「自分の家なのに落ち着かない」といった不満が生まれる前に、プライバシーを尊重する空間設計と家族間のルールづくりが重要です。

 

家事分担や育児への干渉で後悔を感じる


家事や育児への「手伝い」は、時に「干渉」と受け取られることがあります。特に育児に関しては世代間の価値観の違いが大きく、意見の衝突が起こりやすい領域です。
例えば、以下のようなケースで後悔を感じる方が多いようです。

・家族全員の食事の用意を一人に任される
・赤ちゃんの扱い方の認識に違いがある
・子どもの教育方針の違いで意見がぶつかる

「良かれと思って」の行動が、子世帯にとっては負担になることもあるでしょう。逆に、共働きの子世帯を支えるために、家事や育児を引き受けすぎて疲弊してしまう親世帯も少なくありません。家事や育児に関する役割分担、境界線の明確化が大切です。

 

建築費や生活費の折り合いが難しい


二世帯住宅においては、建築費や生活費の負担についても慎重な話し合いが必要です。
費用面のトラブルでは、以下のような例が挙げられます。

・建築費の追加分をどちらが支払うかで揉めた
・光熱費は折半なのにもかかわらず、一方の使い方が激しい
・親が病気になり、修繕費の支払いが困難になった

建築費の負担割合、光熱費、水道代、食費などの生活費の分担方法、修繕費用の負担などを事前に話し合い、双方が納得した形で進めることで、後々のトラブルを回避できます。曖昧なままにすると不満が蓄積し、家族関係に亀裂が生じる可能性があります。
そのため、建築前だけでなく、生活が始まった後も定期的に話し合い、問題を早期に解決する仕組みをつくっておくことが重要です。
例えば、家計管理の方法やトラブル発生時の対応策などを具体的に決めておけば、円滑な関係を維持できる可能性が高まります。

 

相続時にトラブルの元となる


二世帯住宅は、親世代が亡くなった後、相続時にトラブルに発展する可能性があります。事前に対策を立て、遺言書の作成など法的手続きを検討しておくことが重要です。
相続に関するトラブルでは、以下のような例が挙げられます。

・親が土地・建物を単独所有して子世帯と同居していたが、親が亡くなった後、他の兄弟姉妹から相続分の請求を受け揉め事に発展した。
・親と子世帯で土地・建物を共有していたが、親の持分を他の兄弟姉妹が相続したため、子世帯が住み続けることが難しくなった。
・親が土地を所有し、子世帯が建物を所有していたが、親が亡くなった後に土地の所有者が変わり、子世帯が土地を買い取ることができず、建物を解体して土地を明け渡すことになった。

親が元気なうちに、家族で将来の住まいや財産について話し合い、誰がどのように住み続けるのか、財産をどのように分けるのかなどを明確にしておくことが重要です。必要に応じて弁護士や税理士などの専門家に相談し、適切な対策を講じましょう。

 

売却しにくい


二世帯住宅は、売却時に想定外のトラブルが発生する可能性があります。事前に将来の売却の可能性も考慮に入れておくことが重要です。
売却に関するトラブルでは、以下のような例が挙げられます。

・購入希望者が少なく、なかなか売却できなかった。
・一般的な住宅に比べて売却価格が低くなってしまった。
・二世帯住宅特有の間取りが敬遠され、買い手がつかなかった。

将来売却する可能性がある場合は、売却しやすさを考慮した間取りや設備のプランニングが重要です。例えば完全分離型であれば、賃貸併用住宅や店舗付き住宅などさまざまな形態に転用できるため、売却時のデメリットを軽減できる可能性があります。
また、購入時に将来の売却について不動産会社と相談しておくことも有効です。

 

【メリット】それでも二世帯住宅を検討する価値はある?


家のオブジェを持つ女性、二世帯住宅イメージ

「やめた方がいい」と言われる原因となるデメリットがある一方で、二世帯住宅には多くのメリットも存在します。主な内容は以下の通りです。

・建築費の負担を抑えられる
・子育てサポートを受けやすい
・介護しやすい
・補助金や税優遇の対象になる

せっかく二世帯住宅を建てるなら、メリットを最大限に活かし多世代生活を楽しみましょう。それぞれ詳しく解説します。

 

建築費の負担を抑えられる


二世帯住宅は、親世代と子世代の共同出資により建築費を折半できる点がメリットです。通常の住宅と比較しても、比較的大きな家を建てる際のコストを分担できるため、経済的な負担が軽減されます。

また、実家を建て替えて二世帯住宅を建てるケースも少なくありませんが、この場合は土地代の負担なしで注文住宅を建てられる点が大きなメリットです。
近年は地価も建築費も激しい高騰を続けているため、それらの費用を抑えられれば、将来的な生活の大きな助けとなるでしょう。

 

子育てサポートを受けやすい


孫とお絵描きをするシニア夫婦

子育て世帯にとって、親世帯からのサポートを受けやすいのは大きなメリットです。日々の育児の負担軽減だけでなく、急な用事の際にも安心して子どもを預けることができます。
祖父母との触れ合いは、子どもにとっては貴重な経験です。親以外の大人に囲まれて育つ環境は、成長過程にも良い影響をもたらすでしょう。
送迎、食事の支度、病気の際の看病など、具体的なサポート内容を事前に話し合っておくことが大切です。

 

介護しやすい


将来、親の介護が必要になった場合、二世帯住宅であればすぐに対応できます。親の元へ移動する手間や介護施設への入居費用を抑えられ、精神的な負担も軽減されます。日々の生活の中で様子を見守ることができるため、安心感も高まるでしょう。
将来的な介護も視野に入れて二世帯住宅を建てる場合は、バリアフリー設計を取り入れるなど、介護する側・される側双方の暮らしやすさを考慮した住宅設計が重要です。

 

補助金や税優遇の対象になる


二世帯住宅を建てる際には、自治体や国の補助金、税金の優遇制度を活用できる可能性があります。
省エネ住宅やバリアフリー住宅など、特定の条件を満たす住宅に対して優遇措置が適用される場合もあるため、活用を積極的に検討してみましょう。
補助金や助成金制度では、国だけでなく自治体の制度をあわせて活用できる場合もあります。
さらに各税金では、以下の優遇措置が受けられる可能性があります。

【二世帯住宅の購入や相続で受けられる減税・税優遇制度】
・住宅ローン減税(控除)
・住宅取得資金等の贈与税の軽減
・不動産取得税の軽減
・登録免許税の軽減
・固定資産税の軽減
・相続税の軽減

いずれの制度も、申請手続きの方法や対象期間が異なります。
施工会社や役所窓口、税務署などへ事前相談し、実際に利用できる制度や要件を確認しましょう。

 

二世帯住宅のトラブルを防ぐ3つのコツ


家で食事する三世代家族

二世帯住宅で起こりうるトラブルを未然に防ぐためには、以下3つのコツを意識することが重要です。

・家族会議でルールを明確化する
・適度な距離感を保つ
・共有部分とプライベート空間の設計を工夫する

それぞれ詳しく解説します。

 

家族会議でルールを明確化する


二世帯住宅で後悔しないためには、生活費・家事・プライバシー・来客対応など、事前に家族会議を開き明確なルールを決めておくことが重要です。曖昧なまま生活を始めると、「こんなはずじゃなかった…」と後悔する原因になりかねません。

例えば、生活費は光熱費を完全折半にするか、人数比で按分するか、親世帯の年金収入を考慮するかなど、細かく決めましょう。光熱費折半でも、子世帯の冷暖房多用で親世帯が不満を抱えるケースもあります。
家事も、共有部分の掃除当番制、庭木剪定は親世帯、ゴミ出しは子世帯など具体的に決め、片方の世帯に任せきりにならないようにしましょう。

プライバシーについては、親世帯が無断で子世帯の部屋に入室しない、子世帯が生活音に過剰反応しないなど、どこまで許容範囲かの事前確認が大切です。来客時は、親世帯来客時に子世帯の空間利用禁止、駐車スペースの指定などルールを決めましょう。
これらのルールは書面に残し、出産や親の介護開始などライフステージの変化に合わせて定期的な家族会議で見直すことも大切です。

 

適度な距離感を保つ


二世帯住宅での生活は、良好な関係性を保つうえで適度な距離感が重要です。干渉しすぎず、お互いのプライバシーを尊重することで、心地よい生活を実現できます。
具体的には、生活空間への無断侵入や生活音への過剰反応は避け、個々の時間を大切にしましょう。家族であっても、パーソナルスペースへの配慮は不可欠です。

完全分離型の場合、日常生活は別々でも、誕生日や節句、クリスマスなどのイベントを共に過ごすことで、メリハリのある交流が生まれます。空間的な距離があるからこそ、イベント時の喜びや特別感がより一層高まるでしょう。
家族のつながりを保ちつつ、適度な距離感を意識することで、二世帯住宅での快適な暮らしが実現します。

 

共有部分とプライベート空間の設計を工夫する


二世帯住宅でプライバシーを確保するには、共有部分とプライベート空間を明確に区別する設計が重要です。玄関、キッチン、浴室といった共有部分と各世帯の居住空間は、音の伝わり方や動線を考慮してプランニングしましょう。

完全分離型でも、行き来できる扉を設置する際は慎重な検討が必要です。安易な行き来は「完全分離」の意味をなくし、後悔につながる可能性があります。後から鍵をつけるのは関係悪化を招く恐れもあるため、設置前に家族で十分に話し合いましょう。

例えば、行き来できる扉が必要な場合、普段は施錠しておき、必要に応じて鍵を開ける運用ルールを事前に決めておくことで、プライバシーを確保しながらも柔軟な対応が可能になります。
家族構成やライフスタイルに合わせたプランを、設計士に相談しながら検討していきましょう。

 

二世帯住宅の種類別メリット・デメリット


住宅の図面を見ながら検討をするシニア夫婦

二世帯住宅には、大きく分けて以下の3つの種類があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、家族に合ったタイプを選びましょう。

・完全分離型
・部分共有型
・完全同居型

 

完全分離型


二世帯住宅の玄関

完全分離型の二世帯住宅は、玄関からキッチン、浴室、トイレ、リビング、居室まで、すべてが独立した構造の二世帯住宅です。
まるでアパートのように、二つの住居が一つ屋根の下に並んでいるようなイメージです。そのため、それぞれの世帯が完全に独立した生活を送ることが可能です。

メリットは、何といってもプライバシーを確保しやすい点です。生活音や生活時間帯を気にすることなく、それぞれの世帯が自分たちのペースで生活できます。また、独立した玄関があるため、来客を気兼ねなく招くことも可能です。これにより、お互いの家族に負担を与えずストレスを軽減できるというメリットがあります。
一方で、デメリットとしては建築費用が高くなる傾向がある点です。設備が二軒分必要となるため、建築費用は当然高額になります。
また、固定資産税などの維持費も二倍かかるケースがあります。さらに、親世帯と子世帯の交流が希薄になりがちなため、子世帯が親世帯の異変に気づきにくい可能性もあるでしょう。

 

部分共有型


リビングダイニングでくつろぐ三世代家族

部分共有型二世帯住宅とは、玄関や浴室、キッチンといった水回りスペースの一部を共有するタイプの二世帯住宅です。3種類の二世帯住宅で、最も採用が多いタイプといわれています。
完全分離型と完全同居型の中間的な住まい方となり、お互いのプライバシーを尊重しつつ、適度な距離感を保ちながらの生活が可能です。

このタイプのメリットは、光熱費などの費用削減、親世帯と子世帯の相互扶助、ほどよいプライバシーの確保、円滑なコミュニケーションなどが挙げられます。共有することで費用負担を軽減し、生活を送るうえでの助け合いもしやすくなるでしょう
一方、デメリットとしては、共有部分の掃除やメンテナンス、費用負担割合をめぐるトラブル、生活時間の違いによる騒音問題、来客時の共有部分の使用に関する気遣い、どちらかの世帯の生活スタイルに合わせなければならない状況などが考えられます。

部分共有型の二世帯住宅は、お互いのライフスタイルを尊重しつつ協力的な生活を望む家族に向いています。良好な関係を維持するためには、共有部分のルールづくりや生活音への配慮といった工夫が不可欠です。

 

完全同居型


二世帯住宅の前に並ぶ三世代家族

完全同居型の二世帯住宅は、キッチン、浴室、トイレ、リビングなどの生活空間を親世帯と子世帯で共有する住宅です。ほとんどのケースで寝室のみ別々に設けられます。
一つの家に住んでいるのと変わらないため、家族間のコミュニケーションが取りやすいという特徴があります。

完全同居型のメリットは、建築費用や光熱費などの費用を抑えられることです。
また、親世帯が高齢になった際の介護や子育てのサポートなど、お互いに助け合いやすいというメリットもあります。
一方で、完全同居型のデメリットは、生活空間を共有するためプライバシーの確保が難しい点です。
生活リズムの違いや生活音、家事分担などでトラブルが発生しやすいというデメリットも挙げられます。親世帯と子世帯のライフスタイルが大きく異なると、お互いにストレスを感じてしまう可能性があるでしょう。

完全同居型の二世帯住宅を検討する際は、家族で十分に話し合い、メリットだけでなくデメリットも理解したうえで慎重に判断することが重要です。

 

厚木・海老名・町田で二世帯住宅を建てるなら「サラホーム」桜建築事務所へ


モダンな外観の二世帯住宅

二世帯住宅は、メリットとデメリットをしっかりと理解し、家族全員でよく話し合うことが大切です。
それぞれの家族構成やライフスタイルに合った二世帯住宅の種類を選び、トラブルを防ぐためのコツを実践することが、快適な二世帯住宅生活を送るためのポイントです。
二世帯住宅の設計は一般住宅よりも複雑で、生活動線やプライバシーへの配慮など、考慮すべき点が多くあります。考慮する点が多く、プラン作りも難しいところが多いので経験豊富な設計士のアドバイスを受ければ、暮らしやすく満足度の高い二世帯住宅を実現できるでしょう。

厚木・海老名・町田をメインエリアに注文住宅を手掛ける「サラホーム」桜建築事務所では、デザイン・性能・コストのベストバランスを備えた家づくりを実現します。
数多くの実績やノウハウを活かし、お客様一人ひとりに寄り添ったプランをご提案いたします。
「親世帯も、子世帯も快適な二世帯住宅をつくりたい」そんなお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。

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監修者:髙橋 康征(たかはし やすゆき)
一級建築士/一級土木施工管理技士/CASBEE建築・戸建評価員/インテリアコーディネーター



日本大学生産工学研究科建築工学専攻修士課程を修了し、一級建築士として数多くのプロジェクトを手掛ける。家業の土木建設会社にて宅地造成・エクステリア施工業務を経て、桜建築事務所に入社。住宅分野に限らない幅広い知識による提案や固定概念に囚われない設計が好評を得ている。「ジャーブネット全国住宅デザインコンテスト グランプリ受賞」「2013年2022年2023年LIXIL全国メンバーズコンテスト 地域最優秀賞受賞」など、住宅デザインコンテスト受賞実績を多数保有。

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